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熊本時代から東京時代、そしてオリンピックまでがつながった『いだてん』12話

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『いだてん』12話。

いよいよ、四三(中村勘九郎)のマラソン当日。

具合が悪いのに会場に行くと言い出す大森(竹野内豊)。案の定、会場へ向かう途中で体調が悪くなる。

一緒にいた四三は、道中で休む大森の姿を見て、子供の頃、嘉納治五郎(役所広司)に抱っこしてもらうため、体が弱い父(田口トモロヲ)と出かけたときの光景(2話参照)がフラッシュバックする。

大森の体調不良と会場まで迷いながら来たことがタイムロスとなり、入場が遅れてしまった四三は、心の準備ができる前にマラソンのスタートを切ることになってしまう。
必死に追い上げるも、その日の暑さもたたって、地元・熊本の人々や東京高師の面々などが自分を応援している幻覚を見る。

そして途中、ランナーズハイなのか、急に早く走れるようになって、ぐんぐん選手たちを追い抜いていった。

けれど、ついには、子供の頃の自分の幻覚まで見えるようになってしまい、気づいたら宿舎のベッドの上に。

なぜベッドにいたかというと日射病で倒れてしまったから。

マラソンの途中で消えてしまったためゴールできなかった四三。
真面目な性格ゆえ、こんな事態になってしまったこと(しかもマラソンで倒れてからベッドに運ばれるまでの間の意識なし)を自分で責め……。
そして次回へ。

ちなみに今回は、熊本〜オリンピックまでがすべてつながった回。

幼い頃、父と遠出した思い出と、体調不良の大森と一緒にスタジアムへ向かう道中が重なり、熊本と東京で駆けずり回っていた思い出(走っていた場所でみんなに応援されている光景として映像では表現)と、オリンピックで走っている最中の光景が重なる。

これは、四三の幻想として表現されてはいるんだけど、物語として、四三のランナーとしての歴史を振り返るような比喩的表現と捉えることもできる。

だから、これまで語られてきた熊本、東京、オリンピックのすべてがきれいにつながった話になっていた。それゆえに、「まさかこれから四三にあの悲劇が起こるわけない!」と思わせるには効果的な表現になっていたけど……。

四三がこれまで積み重ねてきた努力は、ストックホルムオリンピックでは結果につながらなかった。だけど、それがこれからの四三の人生にどんな影響を与えるのか。
この結果自体が、残り4分の3の物語の伏線になっていたりして。

一方、どんどん存在感が薄くなってきていた古今亭志ん生(ビートたけし)の若かりし日の孝蔵(森山未來)はどうなったかというと、初めての高座まであともう少し。

マラソンで満身創痍な四三と重ねて描かれた孝蔵は、車を引かないと話が出てこないため、車夫として東京の街をかっとばして、こちらもまた満身創痍。

そして次回のサブタイトルは「復活」。

マラソンの途中で行方不明になり、落ち込む四三がどう「復活」を遂げるのか。
演目は「富久」と決めたものの、高座目前で、語れるほど話が出てこなくて焦る孝蔵がそこからどう「復活」していくのか。

そしてこの2つのストーリーがどうリンクしていくのかも、13話の注目すべきポイントかも。